猫も人と同じように「コホッコホッ」と[ruby 咳 せき]をすることがあります。[ruby 咳 せき]には心配のいらない咳、病気が隠されている咳と、同じ咳でも理由はさまざまです。可愛い愛猫が咳をしていたら少し心配になってしまいますよね。
今回はそんな猫の咳の原因・病気・対処方法などをご紹介します。
猫の2つの[ruby 咳 せき]の種類と特徴とは?
咳とは一般的に「鼻や気管や肺などの呼吸器官に侵入した、異物を取り除こうとして起こる生理現象」のことです。
猫は頭を下げ「ケホケホ」といった感じの咳をします。
1. 数回で収まる心配のいらない咳
数回で収まる咳の場合ですが、猫もゴミやホコリを吸い込んだりすると咳をすることがあります。
この場合の咳は、吸い込んだ異物を取り除く生理現象ですから心配いりません。
異物がとり除かれてしまえば咳はすぐにおさまるでしょう。
2. なかなか止まらない、ゼーゼーしてしまう咳
ホコリ等が原因の咳であれば、通常数回ほどでおさまります。
しかし、咳がなかなか止まらない場合や、日常的に咳をしていたり、咳と合わせて「ゼーゼー」という音が聞こえる場合、さらに痰が絡んでいる咳などは感染症や心臓病などが隠れている恐れがあります。
猫が咳をする3大原因とは?
1. 異物が入ってしまったことによる咳
先ほど紹介したように、人もホコリなどを吸い込むと咳が出るように、猫も異物を吸い込んでしまったり、喉に食べ物が閊えたりするとそれを押し出そうとして咳をします。
この咳は数回で収まることがほとんどです。
2. 興奮してむせこんでしまったことによる咳
遊びやびっくりしたりすることで、むせこんで咳をしてしまうことがあります。
こちらも猫の興奮が収まれば咳もおさまるため心配はいりません。
3. 病気が原因で起こる咳
猫の咳がなかなか止まらない、ゼーゼーと音がする、痰がからんでいるような湿った咳をしている場合は、病気が原因で咳をしている可能性が高いです。
他にも元気がなかったり、苦しそうにしていたりと色々な症状が合わせておこります。
病気チェック!咳と一緒に現れる症状は?
1. 発熱や鼻水
咳と同時に発熱や鼻水などの症状が現れることがあります。
2. 苦しそうに呼吸をしている
咳をしながら、頭を低くして苦しそうに呼吸したりすることがあります。
3. 咳をしているときゼーゼーやヒューヒューという音がする
咳と同時に「ゼーゼー」、「ヒューヒュー」という音がしている場合があります。
4. 元気がない
咳だけでなく猫の元気がなくなってしまうことがあります。
食欲がなくなってしまう猫もいます。
猫の咳が続く場合に考えられる6種類の病気
1. 猫の[ruby 上部気道感染症 じょうぶきどうかんせんしょう](猫風邪)
上部気道感染症とは人間の風邪によく似た病気で、鼻水やくしゃみ、咳や目ヤニ、そして発熱などの症状が現れる病気です。
ウイルス性鼻気管炎、カリシウイルス、クラミジアなどのウイルスや細菌が原因で起こります。
2. [ruby 喘息 ぜんそく]
喘息はアレルギーを引き起こす原因物質などが気管支を収縮させ、咳や呼吸困難を起こす病気です。喘息は悪化して喘息の発作が重度になると命にもかかわる怖い病気です。
3. トキソプラズマ症
トキソプラズマ症とは、「トキソプラズマ」という寄生虫が感染しておこる病気です。
症状としては、咳や息が荒い、嘔吐や発熱などがみられます。
しかも、人にも感染する病気ですので、この症状が見られるときは注意が必要です。
4. 心筋症
心筋症は、心臓の筋肉が薄くなったり、厚くなったりするなどの異常がおこり、心臓の働きが弱くなってしまう病気です。
元気がなく疲れやすくなり、咳がでる、息が荒い、食欲不振などの症状が現れます。
5. リンパ腫
リンパ腫はとても恐ろしい病気で、予後があまりよくありません。
リンパ球がガン化してしまう病気であり、猫白血病ウイルスの感染が関与しているといわれています。
咳をする、息が荒い、痩せてしまうなどの症状が現れます。
6. 巨大食道症
食道の一部分が異常に広がった状態となり、そこに水や食べ物が溜まってしまう病気です。
発症すると食べ物を胃へ送ることができなくなり、食事をするとすぐ吐いてしまったり、体重がどんどん減ってしまう、咳をするなどの症状が現れます。
猫の咳への3つの対処方法
1. どんな咳をしているのか観察する
猫の咳がどんな咳なのかをしっかり観察しましょう。
咳はどれくらい続いていますか?どんな時に咳が出ますか?ヒューヒューと音がしていませんか?
咳の様子を観察することがスムーズな病気の診断につながります。
メモを取ったり咳の様子を動画に取るのも良いでしょう。
2. 咳の他に変わった様子がないか観察する
咳をしている他に、いつもと変わった様子はありませんか?
「猫の元気はありますか?」
「食事はとれていますか?」
「食べる量はかわりませんか?」
など、ほんの少しの変化を見逃さない様にしましょう。
猫の普段との違う様子を観察することが、スムーズな病気の診断につながります。
普段との違いをしっかりメモしておきましょう。
3. 動物病院を受診する
咳が続く場合は必ず動物病院を受診してください。
喘息や心筋炎などはどんどん症状が進行する病気で、自己判断で「大丈夫だろう」という安易な判断が猫の命にかかわることがあります。
早め、早めの動物病院の受診をおすすめします。
その際は、観察したことをしっかりと伝えるのを忘れないようにしてください。
咳が続く場合にすべき検査方法
1. 血液検査
猫の血液検査では、全身状態を把握するために「全血球計算」や「スクリーニング生化学検査」、原因の特定のために「ウイルスの抗体価検査」などを行います。
それぞれ猫の状態を見て検査項目を決めますが、費用は一般的に10000円からと考えておきましょう。
2. X線検査
心臓や肺、気管の状態を観察するために「X線検査」をすることがあります。
費用は一般的に1枚5000円ほどです。
3. エコー検査
心臓の様子を観察するには「エコー検査」が用いられます。
費用は一般的に5000円ほどです。
咳が続く場合にすべき治療方法
咳の原因別に治療法方をご紹介します。
1. 猫の上部気道感染症(猫風邪)
猫風邪の治療には、「気管支拡張剤」や「解熱剤」、「整腸剤」などを用いて対症療法を行い、新たな感染防止のために「抗生物質」を投与して治療を行います。
2. [ruby 喘息 ぜんそく]
猫の喘息の治療には、「ステロイド」や「気管支拡張剤」、「抗炎症剤」などの薬を用い治療を行います。
重症の場合は、入院して「酸素吸入」や「点滴」などが必要となることもあります。
喘息は完治の難しい病気で、喘息の発作をできる限り少なくすることが重要です。
咳が一時的におさまったからといって薬をやめると、喘息の悪化の原因になりますので注意してください。
3. トキソプラズマ症
トキソプラズマ症は、様々な「抗菌薬」を併せて治療を行います。
発熱や下痢などの症状がある場合は、「解熱剤」「整腸剤」などを用いて対症療法も行います。
免疫力、体力の落ちている猫の場合、命にかかわることもある危険な病気でもあります。
4. 心筋症
心筋症を完治させることは残念ながらできません。
そのため心筋症の症状に合わせて、「血管拡張剤」や「β受容体遮断薬」、「利尿剤」などを用いて症状の軽減を図ります。
5. リンパ腫
リンパ腫の治療には、主に「抗がん剤」を用いた化学療法がおこなわれます。
また「放射線療法」を併せておこなうこともあります。
また、嘔吐や下痢などその他の症状が現れている場合、対症療法を行います。
6. 巨大食道症
現在、先天性の巨大食道症には有効な治療法はなく、予後はあまりよくありません。
しかし、鼻から胃へ直接チューブを通しそこから栄養を与えたり、胃チューブといって胃に直接チューブをつけたりして栄養を与えます。
また「誤嚥性肺炎」などには特に注意が必要です。
日常生活からできる猫の咳への予防習慣
1. ワクチン接種
ワクチンを接種をすることで猫の「上気道感染症」や、リンパ腫に関係しているといわれている「猫白血病ウイルス感染症」を予防することができます。
2. 完全室内飼い
外にはたくさんの病原菌やウイルスなどがあります。
現在では猫の完全室内飼いが推奨されています。
3. 猫の生活スペースを清潔にたもつ
アレルギー物質などとの接触を防ぐためにも、猫の生活スペースを清潔にたもちましょう。
4. 栄養価の高い食事
普段から栄養価の高い食事をとることで、猫の抵抗力や健康を高めることができます。
キャットフードは、メーカーによっては年齢別の商品が発売されていますが、じつは栄養価が足りなかったり偏っていたり添加物が多かったりします。ですから、猫の健康を真剣に考えるならプレミアムキャットフードがオススメです。
今回のまとめ
猫の咳の2つの種類と特徴とは
猫が咳をする3大原因とは
病気チェック!咳と一緒に現れる症状
猫の咳が続く場合に考えられる6種類の病気
猫の咳への3つの対処方法
咳が続く場合にすべき検査方法
咳が続く場合にすべき治療方法
日常生活からできる猫の咳への予防習慣