頭が悪い犬?しつけがしにくい犬種ランキング

「頭が悪い犬?」といっても単純に「馬鹿な犬」のことではありません。

今回は「しつけがしにくい犬」という基準で作られたランキングです。

このランキングを知れば、犬を飼う初心者はその犬種を飼うことを避けられますし、逆にベテランさんなら一緒に暮らしてみたくなるかもしれません。

とりあえずどんな犬がランキングしているか確認してください。



頭が良い犬、悪い犬、その基準はなに?

どの犬にも元になった先祖の犬種がいます。彼らは最初からペットだったわけではなく、それぞれ仕事を与えられてこなしてきました。そのため、犬種によってその能力は様々です。

・自己解決能力
・他からの学習能力
・感情を読み取る能力
・連想記憶能力

など、犬種によって得意分野が違います。
ですから一概に頭が良い悪いを判断できません。

今回ランキングの基準に使っているのは犬の機能のうちの2つだけ。

「新しい指示を何回で覚えるか」
「1度の指示で行動できるか」

この2つです。

ですから、しつけがしにくい犬=馬鹿な犬ではありません。

これは飼い主の指示を聞くか、聞かないかを基準にして作られた「しつけのしにくい犬のトップ10」です。



しつけのしにくい犬TOP10

早速、トップ10を発表します。

1位 アフガンハウンド
2位 バセンジー
3位 ブルドッグ
4位 チャウチャウ
5位 ボルゾイ
6位 ブラッドハウンド
7位 ペキニーズ
8位 ビーグル
9位 マスティフ
10位 バセットハウンド

です。

第1位・アフガンハウンド

アフガンハウンド 1

しつけがしにくい犬、堂々の1位は「アフガンハウンド」です。
上の画像をみてください。知的で聖人のような風貌でとても指示を聞けない「頭が悪い犬」とは見えませんよね?

原産国

アフガニスタン

歴史

アフガンハウンドは、紀元前4000年頃から生息している世界最古の犬種といわれています。
あのノアの箱舟に乗った犬はこの犬種でした(諸説あります)。

古代エジプトの遺跡や家具、記録物にもその姿が残っています。

体の特徴

アフガンハウンド 2アフガンハウンドは、寒暖差が50℃にもなるアフガニスタンの山岳地帯や砂漠の気候に適応するため顔と背筋を除く全身がまっすぐな被毛で覆われています。

アフガンハウンドは気品ある長毛種の大型犬で、体重は26kgからオスの大きいものでは35㎏前後。
体高70cmを超える個体も珍しくありません。

アフガンハウンドはドッグショーの華として有名ですが、狩猟犬としても活躍しています。

性格

アフガンハウンドの性格は、ひと言でいえば「自分で考えて行動する犬」です。飼い主の指示を待たず臨機応変に状況判断しなくてはいけない狩猟犬としての血が濃く出ている性格です。

自分で判断する=飼い主の思い通りにならない。しつけが難しい。

賢すぎるが故に「世界で一番しつけがしにくい犬」のトップの座を射止めました。

第2位・バセンジー

バゼンジー

2位は「バセンジー」です。
こちらも古代エジプト時代から生息している最古の犬種です。エジプトの神・アヌビスのモデルだともいわれています。

原産国

中央アフリカ・コンゴ共和国

歴史

狩猟犬として紀元前から重宝されてきました。吠えるのではなく、視覚と嗅覚を使って獲物を追い込む狩猟能力に長けていて、現在でも優秀な猟犬として活躍しています。

体の特徴

バゼンジー2短くてなめらかな褐色と白の体毛がスタンダードです。耳はピンと尖り、巻き尾、足が長く華奢な印象を与えます。体高・40cm程度、体重10kg
の小型犬です。足が速く多くの運動量が必要です。

性格

よほどのことがないと吠えません。家族と認めた人には愛情を注ぎますが、他の人には警戒心を緩めません。「嫌なものはイヤ」がハッキリとしている性格です。

興味のないことには本当に興味を示しません=飼い主の指示をスルーすることがあり、しつけが入らない。

自分で判断する部分が多いため「指示に従えるか」を基準にすると「頭の悪い犬」の上位にランキングされてしまいます。

第3位・ブルドッグ

ブルドッグは強面で愛嬌のある姿からキャラクターとしてもお馴染みの犬種です。

原産国

イングランド(イギリス)

歴史

ブルドッグは、13世紀頃“闘牛犬”として作られた犬種です。ブル(牛)を相手に犬がベインディング(噛みつく)する興業は19世紀前半まで続けられていました。その頃のブルドッグの姿は足が長く、下顎も今ほど出っ張ってはいません。

1935年にブル・ベインディングが禁止され、闘う必要がなくなったため現在の愛嬌ある姿に改良されました。見た目の変化と同時に攻撃性も取り払われています。

体の特徴

ブルドッグ2短い足に丸太のようなボディ、ずんぐりむっくりで太っているように見えますが、頭が大きく肩幅も広い逆三角形でマッチョな体型をしています。被毛はなめらかで、下顎の出たアンダーバイトが大きな特徴です。

体重は25kg前後、体高は30〜40cmです。

性格

「頑固」です。

攻撃性や闘争心はなくなっているものの、牛を相手に1歩も引かない気丈さが残っていると思われます。忠誠心が強く、家族以外の人にも愛嬌を振りまきます。愛想が良すぎて番犬には向いていないほどです……が、納得のいかない指示には従いません。

頑固=指示に従わないことが多い。これがワースト3位の理由です。

第4位・チャウチャウ

チャウチャウ

cmのおかげで一時はブームにもなったチャウチャウ。いつしか街で見かけなくなってしまいました。

原産国

中国・華北

歴史

チャウチャウ22000年以上の歴史を持つ犬種です。スピッツやマスチフの祖先ではないかともいわれています。元々は猟犬として活用されていましたが、やがて食用として繁殖されるようになりました。賛否両論あるものの現在でもその習慣は続いています。

チャウチャウが知られるようになったのは1880年イギリス・ロンドン動物園で展示され、ビクトリア女王の関心を引き、家庭犬としての改良が始まってからです。

体の特徴

ライオンのようなたてがみを持ったガッシリとした大型犬です。シルエットは怖そうなのですが、テロンとしたなんともいえない愛嬌のある顔をしています。青黒い舌が特徴的です。

体高は50〜60cm、体重20〜30kgです。平均寿命は9〜15歳と幅があります。無謀な繁殖が行われていた過去があり、先天的な欠陥を抱えた個体が多いためだと思われます。

性格

肉がつきやすいように改良されてきたので運動を好みません。

間の抜けた顔つきと、体全体を振りながら後脚をチョコチョコさせて歩く姿から穏やかそうに見えますが、実は頑固で荒い気性です。食用としての役割が大きいため人に慣れる必要がなかったことが原因と考えられます。

頑固で荒い気性=しつけにくい。言うことを聞かないためにランクインしてしまいました。

第5位・ボルゾイ

大きな体型と長い口吻から覗く牙。初めて見た人は犬好きでも1歩引いてしまうかもしれません。しかし、ボルゾイはとても愛情深い犬種です。

原産国

ロシア

歴史

13世紀初期にはウサギ狩りの猟犬として使役されていました。その頃はアフガンハウンドのような体格でしたが、その後、オオカミ猟に使うためにロシアンシープドッグと交配が行われ現在のように大型化されました。

当初はロシアン・ウルフハウンドと呼ばれ、貴族しか飼うことを許されていなかったそうです。その後、イギリス、アメリカを経由して世界的に知られるようになりました。「ボルゾイ」と変名されたのは1936年です。

体の特徴

スラッとした流線型です。口吻が長くガッシリとした牙をしています。垂れ耳です。体格が大きい上、長毛種なのでさらに大きく見えます。体高は70〜90cm。大きい物は50kg近い体重になります。

性格

活発で運動好きです。走るのも速く、1mくらいの柵なら軽々飛び越えます。室内ではおとなしく人に寄り添って静かにしていることを好みます。従順で人なつこく他人にも甘える仕草を見せる温厚な性格です。賢い犬種なのですが、狩猟犬の血が濃く、自分で判断することに長けています。

自分の判断で行動するのが得意=主人の指示前に動いてしまう。

指示を待たないためしつけにくいことが「頭の悪い犬」といわれてしまう原因です。遊び好きで小動物を追いかけ回すのも大好きで、興奮すると他の犬を獲物として認識してしまうこともあります。そのあたりもランクインしてしまう要因でしょう。

第6位・ブラッド・ハウンド

海外では警察犬としても活躍しているブラッドハウンド。「純血_ブラッド_の猟犬_ハウンド」と呼ばれる優秀な犬種が「頭の悪い犬」にランクインしているのはなぜでしょうか。

原産国

ベルギー

歴史

ブラッドハウンド28世紀初頭・ベルギーの修道院で飼われていたセント・ヒューバード
ハウンドが祖先だといわれます。12世紀に入ってイギリスの持ち込まれると、その優れた嗅覚が買われ猟犬として活躍するようになり、やがて家庭用の犬種としての繁殖も始まりました。現在でも猟犬タイプとペットタイプの両方が育成されています。

体の特徴

体高60〜70cm。体重40〜54kg、筋肉質の短毛種です。特徴的な顔や体のシワシワの皮膚は獲物に噛まれたとき、身をよじって逃げても大怪我を負わないためです。

性格

粘り強く集中力があります。元々狩猟犬ですが、走り回るのではなく、嗅覚で獲物の居場所を探し当てるのが得意です。性格は温和で遊び好きです。協調性も高い犬種です。

粘り強い=頑固
集中力がある=他のことが見えなくなる

しつけるためには飼い主側にも粘り強さと忍耐が必要なことがランクインの理由です。

第7位・ペキニーズ

ペキニーズを見下ろす

「獅子犬」として寺院で大切に育てられてきたペキニーズ。獅子に似たその容姿通りのプライドの高さが飼い主にとってはたまらない“ツンデレ”犬です。

原産国

中国

歴史

祖先犬のチベタン・スパニエルは8世紀頃にはチベットの寺院で繁殖され、獅子に似た容姿から宮廷や諸外国への献上物として珍重されてきました。僧侶たちの尽力によってさらに獅子に近い姿に改良されたのがペキニーズです。神聖な獅子犬は皇族以外飼うことを許されず門外不出とされ、禁を破った者は死罪に処せられました。

アヘン戦争後、イギリスに渡ったペキニーズは英国王室のみで繁殖されていましたが、1893年ドッグショーデビューを果たし、今では世界中で愛される犬種になっています。

体の特徴

長い直毛で隠れていますが、ペキニーズは前脚がガッシリ、首回りずんぐり、後脚細めのまさにライオン体型です。体高20cm前後、体重3〜7kg程度です。

性格

飼い主への依存が強い小型犬種が多い中、ペキニーズは独立心と自尊心が高く堂々としています。自分から飼い主の膝に乗ったり、ベッドにもぐり込むようなことをしません。勇敢かつ大胆な面もあり自分より大きな犬にも向かっていきます。

独立心と自尊心が強く、大胆=自己中心的で指示に従わない

甘えないだけで飼い主にはとてもよくなつくので、ランクインに納得のいかないファンも多いことでしょう。

第8位・ビーグル

お馴染み「スヌーピー」のモデルになった犬種です。スヌーピーと飼い主であるチャーリー・ブラウンとのやりとりを知っている方ならランクインやむなしといったところでしょうか。

原産国

イングランド(イギリス)

歴史

祖先はイングリッシュ・フォックスハウンド・狐狩りの猟犬です。13〜14世紀には現在に近い形でウサギ狩りの猟犬として活躍していました。「ビーグル」と呼ばれるようになったのは16世紀頃。エリザベス1世が手紙の中に「歌うビーグル」という一節を残しています。ビーグルには「小さい」または「大声を出す」という意味があります。

ペットとしての役割だけではなく集団で獲物を追い込む優秀な猟犬としても重宝されています。

体の特徴

短毛、垂れ耳、ガッシリした体格の中型犬です。体高は30〜40cm程度、体重は7〜12kgです。大きくよく通る声で鳴きます。

性格

元々、集団行動が得意なので温和で協調性があります。争いが嫌いで愛情深い犬種です。好奇心が強く運動も大好きです。猟犬なので、自己判断力が高く、獲物を粘り強く追う頑固さを持っています。集団で吠えながら狩りをするので興奮しやすい面もあります。

自己判断力の高さと頑固=指示を待たない、気に入らないことはやらない

これがトップテンに入った理由です。興奮すると無駄吠えが止まないのも大きな要因になっています。

第9位・マスティフ(マスティフ・グループ)

マスティフ 

原産国

不明
チベタン、イングリッシュ、アフガンなど様々なマスティフがいてマスティフ・グループと呼ばれますが、それぞれ別の犬種として扱われています。日本の土佐犬は「ジャパニーズマスティフ」です。

歴史

マスティフ2マスティフ・グループは種類も多く、地域も幅広いため正確な起源は不明です。マスティフ記録で最も古いのは3100年前の中国のものなので、一応「チベタン・マスティフ」が祖先だとされています。

日本の土佐犬同様、マスティフは闘犬として育成されてきました。ライオンやクマとも闘わされていたのです。チンギスハーンは3万頭のマスティフを軍用犬として引き連れていたといわれています。

体の特徴

どのマスティフも骨太で筋肉質の超大型犬です。体高70〜80cm、体重は成人男性と同様70kgを超えるものもいます。

性格

温厚で忠誠心強く、愛情深い面を持った犬種です。力が強いだけあってめったなことでは興奮しません。闘犬として育成されてきた、力が強い=攻撃性が残っている場合あり興奮すると手がつけられない、重大な事故を招くことがある。

飼いにくい

これが頭の悪い犬の10位以内に入ってしまった理由です。

第10位・バセットハウンド

映画やドラマ。cmでおっとりしながらも賢い犬としての印象が強いバセットハウンドが10位にランクインしました。

原産国

フランス

歴史

6位にランクインしているブラッド・ハウンドと同じセント・ヒューバードが祖先です。そのため皮膚のシワなど多くの類似点があります。

19世紀になるとそれまで貴族のスポーツだった猟が庶民にも広まっていきます。馬を使って走り回る貴族と違い庶民の猟は歩きが基本です。猟犬にも人の歩きに合わせることが求められました。足が短くて持久力のあるバセットハウンドはそのニーズにピッタリでした。

1880年代にアメリカに渡ると、そのチャーミングな風貌がもてはやされメディアで人気を博すようになります。アニメやドラマ、映画のバイプレイヤーズの他、靴のブランド・ハッシュパピーのイメージキャラクターになったオスの「ジェイソン」は世界で一番有名なバセットハウンドです。

体の特徴

短毛、垂れ耳の中型犬、典型的な短足胴長です。

性格

穏やかな平和主義者です。猟犬ですが嗅覚を使って獲物を探すタイプですので争いを好まず、集中力のある粘り強い性格です。この粘り強さと集中力が頑固で自分の世界に入り込みやすい性格を作っています=自分の好きなことを見つけると飼い主の指示が聞こえなくなるため、頭の悪い犬だと考えられてしまいます。



■まとめ_頭の悪い犬と暮らす楽しさ

トップ10には猟犬や警察犬、麻薬捜査犬、救助犬などで大活躍している犬たちがランクインしています。彼らはペット・愛玩犬に対して「実用犬」と呼ばれる“働く犬”に多く含まれる犬種です。

バゼンジー2彼らの働く現場では飼い主の判断を待たずに自分で考えて行動できる能力が必要とされています。彼らは「頭が悪い」のではなく「頭がよく自分で考えて行動する」犬たちなのです。

しかし、ペットとしては、「飼い主の指示に疑問を持たずに従う」方が優秀だということになっているため、そこを基準に考えると今回のようなランキングになります。

「お手」や「おすわり」を一度で覚え、「待て」といわれたら何時間でもじっとしている犬は確かに素晴らしいと思います。でも、「待て」といって、ちょっと目を離したらチョウチョを追いかけていってしまう犬の方が一緒に暮らすのも楽しいし、自分の犬がなにを考えているのか理解するために、犬と向き合いと対話する機会が多くなるはずです。

自分の考えや生活を押しつけるのではなく、犬の興味や判断基準がどこにあるのかをじっくりと見極めることのできる人なら「頭の悪い犬」といわれている「賢い犬」との生活を楽しむことができるでしょう。

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